日本は超高齢化、人口減少などで社会構造の大きな転換点を迎えており、これまでの手法では社会問題の解決が難しい状況になっています。そんな問題意識のもと、日本財団は2016年から大規模なフォーラムを開催し、新しい「にっぽんの将来」をつくるための道筋を探ってきました。
それが、昨年9月28日から30日までの3日間、東京都港区の虎ノ門ヒルズフォーラムで開かれた「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2016」です。

今年は東京国際フォーラムに場所を移し、11月17日〜19日に開かれる「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」。その開催に先駆けて、昨年の模様を振り返ってみましょう。

課題先進国の未来を切り開くために

初日は午後から開会の挨拶に続いて基調講演、ソーシャルイノベーター制度の紹介などが行われました。
まず、笹川陽平・日本財団会長のあいさつに続いて、自民党若手のホープ・小泉進次郎衆議院議員が基調講演を行いました。

笹川会長は「日本は人口減や高齢社会など“課題先進国”です。しかも、課題が高度化・複雑化しているため、行政やNPOなど各セクターが連携して取り組む必要があります。日本財団は皆さんとともに日本の将来を切り開いていきたい」と述べました。
【あいさつする笹川陽平日本財団会長】
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/796
続いて、小泉議員が登壇。「日本の最大の課題は人口の減少と少子化だが、いずれもすぐ解決する問題ではない。つまり、将来に悲観的な1億2千万人の社会を選ぶか、将来に楽観と自信を抱く6千万人の社会のどちらを選ぶかだ」と語り、自信を持って改革に取り組むべきだと呼びかけました。
【基調講演する小泉進次郎衆議院議員】
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社会を変える起点を生みだす30の分科会

2日目は日本財団の支援を受けた10組11人の「ソーシャルイノベーター」がそれぞれのブースで事業の現状を説明する一方、別の会場ではテーマごとに30の分科会が開かれました(1つは最終日に実施)。

分科会のテーマは大きく5つ。行政、企業、NPO団体、研究機関などのセクターを超えて社会課題解決に向けて議論が行われました。

「Vision -新しい社会の羅針盤-」

「Entrepreneurship -社会変革の担い手-」

「Collective Impact -集合知の新次元-」

「Solusion -ソーシャルイノベーションの最前線-」

「Ecosystem -イノベーションを生み出す国へ-」

たとえば、「Entrepreneurship -社会変革の担い手-」というテーマでは「障害者の起業」と題する討論会が行われ、障害者の社長3人がお互いの起業経験を語り合いました。
登壇したのは、バリアバリューを理念に掲げる株式会社ミライロの垣内俊哉社長、聴覚障害児を対象にした国語専門塾「早瀬道場」の早瀬憲太郎塾長、ウエブサイト制作会社「株式会社 仙拓」の佐藤仙務(ひさむ)社長の3人。佐藤社長は寝たきり状態のため、遠隔で参加。垣内社長は「仕事をするということは生きること。仕事ができない人が多い社会はまだまだだと思う」と語り、障害者の起業促進の必要性を指摘しました。
【障害者の社長3人が参加した討論会】
また、「Ecosystem -イノベーションを生み出す国へ-」というカテゴリーでは、当時の臨時国会で議論が進んでいた休眠預金法案の可決成立に向けて「休眠預金が拓く新たな時代 500億円の資金循環にどう備えるか」と題したディスカッションが行われました。そのなかで、社会的インパクト投資ファンド「レゾナンス」創設者・ダニエル・ブルーワ―氏は、先行している休眠預金活用の現状を語り、与野党の議員たちと日本での休眠預金活用に向けた可能性を探りました。
フォーラム開催時点では成立されていなかった法案ですが、2016年12月2日に参院本会議で賛成多数で可決、成立しました。
現在では、休眠預金の運用スタートに向けて、システムの整備などが進められています。

社会課題解決に闘志を燃やす、ソーシャルイノベーターたち

【「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2016」でプレゼンテーションをするソーシャルイノベーターたち】
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/799
最終日は、「ソーシャルイノベーター」のプレゼンテーションに続いて、パネリストによるシンポジウムが行われました。

「ソーシャルイノベーター」とはどんな存在なのでしょうか。
日本財団は
(1)既成概念にとらわれない発想で「にっぽんの将来」をつくる
(2)社会問題解決の目標を描き、事業の発展に向けた戦略を構想する
(3)セクターを越えたチームを構成し、マルチセクターの協働を実現する能力を持つ
などを求める条件としてあげています。
ソーシャルイノベーターには日本財団はそれぞれ事業資金を提供。さらに、「特別ソーシャルイノベーター」に選定されると、3年間の資金提供が予定され、イノベーションを加速させることができます。
「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2016」に際して一般公募したところ、全国から200件を超す応募があり、その中から10組11人を選定しています。

社会にインパクトを与える特別ソーシャルイノベーターを発表!

フォーラムの最後には、特別ソーシャルイノベーター最優秀賞1点と優秀賞2点が発表されました。

最優秀賞には、教育魅力化による地方創生プロジェクトを提案した岩本悠さんが選ばれました。このプロジェクトはフォーラム入場者の応援投票で1位を占め、選考委員会でもトップだったということです。

受賞した岩本さんは「チームのメンバーや家族にも迷惑をかけながらやってきたので、本当に感謝しかありません。日本の未来のために賞をもらったので、皆さんと一緒にやりましょう」と話していました。
【受賞の喜びを語る最優秀賞の岩本悠さん】
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/799
優秀賞を受賞したのは、子どもの貧困サポートパッケージづくりを提案した河内崇典さん、高亜希さんと、「ポスト資本主義社会をつくる」というビジョンを提案した林篤志さんの2組。


河内・高さんの受賞理由は「関西の色々な人たちが同じテーマに取り組んでいこうというもので、新しいモデルになる」とされています。また、林さんの受賞理由は「ポスト資本主義となる新しい社会のビジョンを持つ人たちでコミュニティを作ろうという壮大な計画である」としています。


今年も「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム」が開催されます。2017年も昨年以上に内容の濃い分科会を企画しています。どうぞお楽しみに!


■参考:該当ブログ記事リンク
ソーシャルイノベーター10件決定!
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/751



ソーシャルイノベーター全員集合!
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/766



国内最大規模のイノベーションフォーラム開催へ
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/789



日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム始まる
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/796



ソーシャルイノベーター10組11人の競演!
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/798



日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム閉幕
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/799



日本は45カ国中23位、1位は米国
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/807



社長3人に成功の秘訣を聞いた!
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/805



休眠預金法案の早期成立を!
http://blog.canpan.info/nfkouhou/archive/802