クラスにひとりは学校になじめない

学校の勉強が大変、友だちとの関係がうまくいかない……など「明日、学校に行きたくないなあ」と思った経験は誰しもあることでしょう。しかし、なかにはもっと深刻な状況で、学校生活になじめず休みがちになったり不登校になったり する生徒もいます。
 文部科学省の調査では、平成26年度の不登校の生徒は小学校で2万5864人、中学で9万7033人、高校で5万3156人でした。特に中学では不登校が増えており、全体の約2.76%という割合になっています。これは1クラス40人のうち1.1人は不登校という数字です。

 不登校の理由は友人や教師との関係がうまくいかない、勉強についていけない・物足りない、集団生活に適応できない、さらに病気や家庭の事情などさまざまです。
 不登校のまま学校からドロップアウトしてしまった子どもは教育を受ける機会を逃してしまいます。その結果、ひきこもってしまったり、社会に出ても活躍できる場が著しく限定されてしまったりする場合も少なくありません。

突出した才能をもつ子が不登校になることも

不登校生徒のなかには、突出した能力=異才を持っている子どもたちも存在します。
 彼らは限られた分野にはずば抜けて高い能力を発揮するものの、それ以外にはまったく関心を示さないなど、興味や関心が偏りがちです。一方で、興味のあることについては学校のカリキュラムとは関係なく深く深く学ぼうとする傾向があります。彼らはみんなが一斉に同じことを学び、オールマイティーに学力を伸ばそうとする学校教育の枠からはみ出しがちです。
 また「異才」の子どもたちは突出した能力をもつ反面、苦手なことも多い傾向にあります。読み書きに困難があるケースも多く 、理解度がテストの結果に反映されずに才能や能力が評価されない子もいます。さらに、他人と協調するのが苦手で人間関係がうまく結べず、いじめにあってしまう子も多いのです。

 ユニークな子どもをもつ親の多くは学校生活に適応できない子どもを心配しながら、適切な相談相手が見つからず、孤立したなかで悩んでいます。
 こうして学校教育に全くなじめないなか、ユニークな子どもたちが不登校となり教育の機会を失っているのです。

異才が育ち活躍する社会を目指して

ユニークな子どもたちは将来、社会にイノベーションを生み出すかもしれません。全く新しいアイディアや技術などを生みだすのは、オールマイティーに能力が高い人ではなく、ある分野だけ非常に突出した能力をもつ人材だとされているからです。アメリカの発明王エジソンも小学校を退学した「異才」でした。
 欧米の大学には「異才」を持った学生の獲得に力を入れているところもあります。
 日本でもイノベーションを生み出す人材が強く求められていますが、そのためには学校教育からドロップアウトしがちなユニークな子どもたちの支援も必要です。

 日本財団は2014年12月に東京大学先端科学研究センターと共同で「
異才発掘プロジェクト
」 をスタートさせました。ユニークさゆえに学校教育になじめない子どもたちのための新しい学びの場所を提供しています。
 異才たちが排除されず、イノベーションが生みだされ、社会に活力が生まれ、豊かになっていけば素敵ですね。