月1万5000円の収入ではたらく人もいる?

 駅のホームで車椅子を使って電車の乗り降りをする人や、白い杖を使い横断歩道を歩く視覚障害者の方を街で見かけることはありますが、障害のある方が働いている姿をみることはなかなかありません。彼らはどのような仕事をして暮らしているのでしょうか。

 障害のある人は全国で約790万人にいます(平成27年度)。そのなかには一般企業や組織で働いていらっしゃる方もいます。

 一方、就職が難しい場合は、就労機会を提供する福祉事業所で働いていますが、どの程度の収入を得ているかご存じでしょうか。
 実は事業所に通っている障害者のうち約20万人は、月平均でわずか1万数千円の収入しか得ていないのです。障害が重く雇用契約が難しいとされる「B型」事業所で働く方たちです。

 法律で定める最低賃金にはまったく届かないため、その支払いは賃金ではなく、「工賃」と呼ばれています。障害者手当を加えても充分な収入には足りず、生活保護に頼らなくてはならないという現状があります。

障害者にはさまざまな活躍のチャンスがある

 以前は、「障害者にできる作業は限られるため、工賃の安い仕事しか需要がない」と思われていました。しかし、最近では工賃の高い仕事を作りだし、障害者の収入を増やしていこうと積極的に活動し、それに成功している事業所もあります。

 たとえば高知県ではNPO法人「ワークスみらい高知」が地元名産の土佐茶を味わえる喫茶店を立ち上げ、地元の人や旅行客に人気を呼んでいます。障害者たちも一緒に働き、最低賃金以上の収入を得ています。岡山県のNPO法人岡山マインド「こころ」は精神障害のある人たちと地ビールを製造してきました。
 軽作業のなかでも高単価なものに進出し、工賃を上げていくといった試みもスタートしています。

 これまで信じられてきた「障害者にできるのは非常に限られた仕事のみ」という考え方は思い込みにすぎず、実は障害者が活躍できる場はたくさんあります。法定最低賃金を超える収入が得られる仕事のやり方も数多く存在したのです。

障害者の働く場が広がると地域も元気になる

 工賃が上がり、収入が増えることではたらく障害者にはやりがいが生まれ、自信が生まれます。一方、わたしたちにとっては生活保護など社会全体での負担を減らすことにも繋がります。

 よい影響はそれだけではありません。高い工賃を目指した事業の多くは、同時に地方の文化や魅力を引き出すものでもあったのです。障害者の雇用支援として始まったお店が人気を呼び、地域の人や旅行客を集め、連鎖反応でシャッター通りが復活したケースもあります。

 このように、障害者が活躍できる場を各地で数多く作り出していくことは、さまざま人によい影響をもたらします。このような意識のもと、日本財団では2015年4月に「
はたらくNIPPON!計画
」 をスタートさせました。目指しているのは、地域に根ざした障害者支援となる新事業を、資金とノウハウを提供しながら、一緒に考えて構築し、障害のある人の「はたらく」にイノベーションを起こしていくことです。

 障害者がさまざまな職場で普通に働き、地域に魅力的なお店や面白いスポットが生まれ、まち全体が元気になっていく……そんな循環を作り出していきたいですね。