5月に応募したソーシャルイノベーター支援制度において、応募総数228件の中から厳正なる審査を経て7人のソーシャルイノベーターが決定しました。7月28日には7人に向けてオリエンテーションが開かれ、ソーシャルイノベーター支援制度の仕組みの解説や7人それぞれの紹介などが行われました。今回は、その模様をお届けします。

「ソーシャルイノベーター」とは、社会の問題に対して、新たな発想と明確なビジョンを持ち、様々な関係者と連携しながら、解決に向けて失敗を恐れずに活動するリーダーのことです。12月中旬に開かれる予定のソーシャル・イノベーションアワード授賞式で7組の中から最優秀賞1組、優秀賞2組を発表します。7人は2017年11月17日〜19日に開催する「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」でも登壇します。
 
 オリエンテーションの冒頭では、笹川順平・日本財団常務理事が挨拶し、「皆さんは、審査の過程でさまざまな意見がある中、それを勝ち抜き、選ばれた7人です。ぜひ自信を持ってプロジェクトに取り組んでほしい。昨年のフォーラムで小泉進次郎氏が『イノベーションとは世の中の景色を変えることです』と発言しましたが、多くの人に『今までとは何か違う景色になったな』と思ってもらえるようなプロジェクトこそが我々が目指しているイノベーションだと思います。ぜひ皆さんにはそこを目指し、チャレンジしてほしい」と激励しました。
【ソーシャルイノベーターを激励する笹川常務理事】

 次に7人のソーシャルイノベーターが自己紹介を兼ねて自身のプロジェクトをプレゼン。それぞれの目指す目標や、ソーシャルイノベーションへの想いを語りました。
 続いて、昨年の受賞者から、今年のソーシャルイノベーターへの応援の言葉が送られました。登壇したのは、昨年の最優秀賞を受賞した、地域・教育魅力化プラットフォーム共同代表の岩本悠さん、優秀賞のCollective for Children共同代表の河内崇典さん、同じく優秀賞のNext Commons Lab代表の林篤志さんの3組です。
 岩本さんは「イノベーターに挑戦したことで役に立ったのは圧倒的なチームづくり。これまで関わってこなかった大学の教授や民間の経営者など多様なセクターの人と触れ合う機会があり、プロジェクトの幅が広がった」と、ソーシャルイノベーターに選ばれることの大きなメリットを語りました。
【昨年の最優秀に選ばれた岩本さん】

 河内さんと、同じく共同経営者である高さんの代理で登壇したCollective for Children事務局長の桝谷さんは「プロジェクトの遂行においては意見がぶつかることもあるが、合わせていくことを諦めず、どこが合わないのかをすり合わせながら業務に当たることが重要だと思う」と熱弁。
【漫才のようなやりとりで会場を和ませた河内さんと桝谷さん】

 そして、林さんからは「私が一番苦労したのは、自分たちが何をやっているのかを伝えること。ソーシャルイノベーターとして挑戦するなかで、自分のプロジェクトを人に伝えるという点で大きく成長した。また、今までは一人で業務を行ってきたが、イノベーターに挑戦するにあたってはチームを作らなくてはいけないので、コミュニケーションはものすごく大事」というアドバイスが送られました。
【ソーシャルイノベーターたちにアドバイスを送る林さん】

 オリエンテーションの最後にはソーシャルイノベーターや日本財団の担当者らで交流会を実施。和やかな雰囲気の中で、これからの挑戦を議論していました。

 最後に、改めて今年選出された7人のソーシャルイノベーターを紹介します。
・浅谷治希
・安部敏樹
・岡 勇樹
・川口 良
・小松洋介
・仁藤夢乃
・横山太郎

ソーシャルイノベーター一覧はこちら
浅谷 治希
LOUPE Inc. CEO, founder

プロジェクト:教員多忙化対策委員会

プロジェクトを始めようと思ったきっかけ
教員の多忙化を制度面から改善する動きもあるが、現場を見るとすでに問題を解決している教員もいる。そのノウハウを悩んでいる教員と共有できるようにすることで、小さいコストで、業務を効率化していけるのではないかと思った。


安部 敏樹
一般社団法人リディラバ 代表理事

プロジェクト:ソーシャルセクター全体のR&D部門に

プロジェクトを始めようと思ったきっかけ
自分の経験から、社会からはみ出した子どもたちも大人に関心を持ってもらえば更生のチャンスが得られるのではないかと思っていた。そのため、第三者にどうしたら社会課題に関心をもってもらえるか考えていた。その中で、現在あるNPOの技術的な課題を大学などで行われている研究と結びつけ、より効率的に課題解決をできる仕組みをつくりたいと思った。


岡 勇樹
NPO法人Ubdobe 代表理事/一般社団法人国際福祉機構 代表理事/合同会社ONE ON ONE 代表

プロジェクト:デジリハ

プロジェクトを始めようと思ったきっかけ
音楽イベントの際、デジタル空間を制作する機会があり、そこで無邪気に遊んでいる子どもの様子を見て、これはリハビリにも使えるのではないかと思った。チームのデザイナーと相談し制作してみたところ、非常に反応がよく「これは社会に必要だ」と感じた。


川口 良
一般社団法人WorkAnywhere 代表理事
ストレイライト合同会社 代表社員

プロジェクト名:CONTINUUM – コンティニウム

プロジェクトを始めようと思ったきっかけ
リモートワークが社会に広がり、世界中の人たちと一緒に仕事ができるようになってきた。しかし、リモートワークの環境はまだ完全に整っているとはいえない。ハード面がもっと整備されれば、地方で働く、家にいながら働くという環境ができるのではないかと思った。


小松 洋介
特定非営利活動法人アスヘノキボウ 代表理事

プロジェクト名:Venture For Japan

プロジェクトを始めようと思ったきっかけ
会社を辞めて東北の被災地に入って、産業復興を手伝う仕事をしていた。会社が徐々に復興していくなか人材難の問題に直面した。こんなに素敵な会社・経営者がいるのになぜ人がいないのだろうと疑問に思っていた。そんな時ニューヨークに行き、優秀な学生にトレーニングを行い、2年間、地方の中小企業・スタートアップに経営ポストや社長の右腕として新卒時点で派遣するプログラムを実施する制度があることを知った。この制度の日本版を作って被災地に向けて優秀な人材の確保をしていきたいと思った。


仁藤 夢乃
一般社団法人Colabo 代表理事

プロジェクト名:夜間巡回バスによる青少年へのアウトリーチ

プロジェクトを始めようと思ったきっかけ
家庭で居場所を失い、夜の街をさまよう中高生を支える活動の中で、性犯罪に巻き込まれた子どもたちの自立支援をしている。私自身、10代の頃に家に帰れず夜の街をさまよっていた経験がある。夜の街にいる大人は、スカウトマンなど危険な人が多い。対策として夜の街に大きなバスをおいて、支援員などと巡回し、子どもを保護する運動をしていきたい。


横山 太郎
Indicocrea(インディコクリエ) 横浜市立市民病院 緩和ケア内科      

プロジェクト名:これでいいのだ! CO-MINKAN

プロジェクトを始めようと思ったきっかけ
普段は緩和ケア病棟で医師をしている。これまでがん患者の治療に当たるなかで、病気の治療だけではなく、もっと患者の方に適切な意思決定を促進していきたいと思っている。がんだけではなく、健康問題に対する患者の意思決定の問題は、事前に準備ができず、人に言いづらい、さらに自身で病気について調べてようと思ってもネットの情報はどれが正確なものかわかりづらいという共通点がある。もっと患者さんが主体的に自信を持って自分の治療を選べるようにしたいと思った。