さまざまなフィールドで活躍し、飾らない語り口で人気を博しているSHELLYさん。プラベートでは第一子出産から3カ月で仕事に復帰し、「母親の働き方」についても社会に再考させるきっかけを作りました。さらにこれまでタブーのように扱われてきた「女性の性の問題」についてオープンに発信しています。そんなSHELLYさんに現在の日本社会における女性の生きづらさについてお話をうかがいました。
--娘さんを出産後、約3カ月で仕事に復帰されました。子育てと仕事の両立についてどのように考えていらっしゃったのでしょうか。
SHELLY
 当初、産休はもっと長くとる予定でした。会社も「いつ復帰するかは子どもを育ててみてから決めていいよ」と言ってくれていたのですが、出産後3カ月くらいしたら「そろそろ仕事したい」という気持ちになりました。
 自分でもすごく意外でしたね。以前から子どもが欲しくて、母親になることを楽しみにしていましたし、実際に子育てはとても楽しい。でも一方ですごく仕事が恋しくなりました。
 小さい頃から自ら働き、お金を稼いできたからかもしれません。
 うちの両親は「大学の費用は出さないけれど、大学へは絶対に行かなくてはだめだ」という教育方針。だから学費を貯めるためベビーシッターや袋詰めのバイトをしていましたし、14歳からやっていたモデルの仕事も学費のため。昔から仕事をしてお金をもらうということがすごく好きでした。
 出産後初めての仕事の時、あらためて仕事で集中するのって快感だと思いました。人前に立つ緊張感、自分がしっかりやらないとみんなが迷惑するといった緊張感を久しぶりに味わいました。ものすごく汗をかいたのですが、終わったときに「やった!」という達成感があって、すごくすっきりしました。
 私にはこういう種類の快感が必要だと気づきました。
 お母さんとして子どもに求められるのも快感ですが、1人の人間として社会に認められることが私という人格には必要です。
 だから仕事を楽しんでいる人、自分の人生で仕事が重要な意味をもっている人は、出産後も仕事を続けるべきだと思います。会社で出産後も働き続けるのには困難もあるかもしれませんが、仕事と育児が両立できる環境が整うとよいですね。
--ご主人も子育てに協力していらっしゃるのですか?
SHELLY
 協力というか、彼の子どもですからね!(笑)。2人で育児しています。家事も子育ても手が空いているほうがやることになっています。おっぱいをあげること以外は、彼もオムツ替えや入浴、夜泣きで泣き止まなかった時に抱っこするのもやっています。だからすぐに仕事復帰できたのだと思います。最近話題になっているお母さんだけの「ワンオペ育児」では今のようには働けなかったです。

--SHELLYさんは2人目の赤ちゃんを妊娠中ですね。働く女性にとっては2人目の出産のハードルが高いと考える人もいるようです。
SHELLY
 よく少子化の原因は「若者が結婚しないから」といわれますが、そうではなくて、結婚し子どもをもった家庭が1人目でやめてしまうからではないかと思います。女性が1人目を産んでみて「子育てってこんなに大変なの?」と感じてしまうからではないでしょうか。
 本来、子育てって楽しいもの。
 私の子どもは今、1歳半くらいです。子育ては時々大変でも基本は楽しいことばかりです。もう少し大人になると生意気になってくるかもしれませんけどね(笑)。
 姉には4人子どもがいます。子どもが好きな人だったら、自然と何人も産むと思っています。それを1人目でやめてしまうのは、多くの女性たちが子育てを楽しめない状況に置かれているからではないでしょうか。
 たとえばレストランで子どもが騒いでしまったら、お母さんたちは周りの人に「すみません、すみません」と謝る。お母さんたちはいつも周りに気をつかって、みんなぺこぺこしている。「だめなお母さんと思われないように」と頑張っていて、大変です。私は小学生の頃から自我が強くて、人に少々迷惑をかけても「仕方がないでしょ」という感じでやっていけています(笑)。でもそんなに図々しくできないお母さんにとっては、現在の日本の環境は居心地が悪いと思います。
--なぜ、お母さんたちにとって居心地が悪い状況になっているのだと思いますか?
SHELLY
 「あるべきお母さん像」を世の中が求めすぎているからかもしれません。
 現在の社会では、出産と同時にお母さんという特別な存在になるように思われていますよね。以前は私も、お母さんになると母性というのが生まれて、いろいろな自覚が芽生えたり、考え方も変わったりするのかなと思っていました。
 でも、いざ、出産してみたらなにも変わりませんでした。独身の頃の私と人間的にはほぼ同じ。今も昔と同じように夜遊びをしたいと思うし、つきあっている友人も変わらない。
 人間としては何も変わっていないのに、理想的なお母さん像を求められる。すごく息苦しいですよね。
 私もテレビでよく「お母さん的発言」を求められることがあります。
 それに素直に応えてしまうと、世の中が期待している「お母さん」像をさらに押しつけることになりますよね。だから絶対言わないようにしています。天邪鬼なのかもしれません(笑)。
 世の中で理想とされているお母さん像が悪いというわけではなく、もっと違うタイプのママもいるということを世の中に見せたい。「こういう社会って、生きづらくない?」と提起していきたい。
 今、ピンクの髪の毛をそろそろ変えたいなと思っているのですが、お母さんになったからやめたと思われるのが悔しいのでしばらく続けています(笑)
 ママのハードルを下げるのが私の役目だと思ってテレビでは発言しています。

--「お母さんらしさ」という社会の期待が女性たちを縛っているんですね。
SHELLY
 実はお母さんだけでなく、さまざまな人に「らしさ」が求められているように思います。テレビに出ているとハーフは天真爛漫、主婦はお金節約、ママはオーガニック好きといったキャラ設定があって、そのような言動を求められます。
 みんなが生きづらいのは「らしさ」や「こうあるべき」ということに縛られているから。そういうのを壊していく作業にそろそろ入らないと。
 とくにテレビは影響力が強いのでキャラ設定を強化してしまうことが多いです。
 私はオネエっぽい話し方をする男性をイジったり、太っている女の子を笑ったりするようなイジり方をするときは笑いません。小さな抵抗をしています。
 社会が、いろいろな人を受け入れるという空気になれば、みんな別に変わらなくていいし、生きやすくなる。少しでもそんな社会を実現するためにさまざまな場所で発言していく、これが私の小さなソーシャルイノベーションなのかもしれません。
--MCを務めている「Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~」では女性の性や身体の問題などをディープに扱っています。この番組に出演を決めたのはなぜですか?


SHELLY
 日本の女性は自身の性について何も教えてもらっていないということへの問題意識がありました。私も日本の学校に通ったので性教育をまともに受けていません。でもアメリカ式の教育を受けた2人の姉たちから教えてもらいました。
 たとえば、「セックスではコンドームは使わないとだめだし、女の子こそ、いつも持っていないとだめだよ」とか「クラブとかバーでは、変な薬を入れられないように絶対に自分のドリンクから目を離してはいけない」といったことはアメリカの大学生にとっては常識です。
 姉たちからアメリカ式の性教育の情報をもらえばもらうほど、同じ姉妹でなぜこんなに情報量が違うのだろうと疑問を感じるようになりました。
 女の子が自分の身体を守るために与えられている武器が日本とアメリカで大きく違う。
 たとえば10代で妊娠して中絶しなきゃいけない子って、その子がいけないの?と思ってしまいます。性のことを教えないで、「嘆かわしい」というのはおかしい。個人ではなく社会の側にも問題があると思います。
 そこで女性たちだけで性や身体のことについて本当のことを話してもらいながら、正しい知識を発信していく番組をやってみたかったんです。
【Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~の様子】
--性の問題で若い女性にとくに伝えたいことはなんですか。
SHELLY
 まずは「あなたには価値があるんだよ」ということ。誰とどんなタイミングでセックスするかは自分の意志で決めていいということです。
 そして誰かと愛しあうことには妊娠や性病などのリスクがともなうので、何らかの対策が必要だということ。こういうことを、楽しく考えながら、自分を守る武器を手にしてほしいです。セックスをしている子はもちろん、まだこれからの子たちにも伝えていきたいです。
SHELLY(シェリー)
1984年5月11日、神奈川県生まれ。父はアメリカ人、母は日本人。14歳の時にモデルとしてデビューし、「CUTiE」「Zipper」などのファッション誌で活躍。その後、テレビやラジオのVJを経て、情報番組のMC、バラエティ番組などで幅広く活躍。主な出演番組に「未来世紀ジパング」「ヒルナンデス!」「今夜くらべてみました」、「Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~」など。2014年に結婚。16年に第一子を出産。現在、第二子妊娠中。