2日目を迎えた「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」。11月18日は各所で「分科会」と呼ばれる、さまざまなソーシャルイノベーションについて語り合う場が、「Vision」、「Issue」、「Collaboration」、「Resource」の4つのテーマに分かれて設けられた。また、残念ながら悪天候のため屋内の開催となった「ONE-DAY-PARK」も、雨を吹き飛ばすような盛況となった。

■Vision 2:「公」をどのように担っていくか

【左から、萱野稔人氏(津田塾大学総合政策学部長、教授)、菅原郁郎氏(内閣官房参与)、関治之氏(一般社団法人コード・フォー・ジャパン代表理事)、為末 大氏】
 大きな話題を呼び、書籍出版も予定する経産省次官・若手プロジェクト「不安な個人、立ちすくむ国家」について、当時の次官・若手有志から活動経緯や各人の思いが語られた。民の立場にある登壇者からも市民を主体とする数々の活動が紹介されたほか、特設チャットではオーディエンスが意見・疑問を投稿できる双方向型の分科会となった。

■Issue3:障害者と性 共生社会のタブー

【左から、熊谷晋一郎氏(東京大学先端科学技術研究センター准教授、小児科医)、中嶋涼子氏(外資系映像会社/放送制作エディター、Co-Co Life☆女子部/読者モデル・スタッフ)、琴音氏(欠損BARブッシュドノエル)、熊篠慶彦氏(特定非営利活動法人ノアール理事長)】
 脳性麻痺や事故での右腕欠損といった障害のある4人のパネリストが、結婚や恋愛、セクシャリティについてユーモアを交えつつ語った。障害者の恋愛も健常者と変わらないが、マッチングサイトで出会うと「障害のカミングアウト」が問題になるとのこと。また、恋愛やセックスに関する情報が健常者向けしかないため、障害者は自分なりの方法を見つけるのが難しいという。人間の「性」について、改めて考えさせる分科会となった。

■Resource3: “シェア”による持続可能な街づくり 渋谷区の長期基本計画への取組み

【左から、澤田 伸氏(渋谷区副区長)、金山淳吾氏(一般財団法人渋谷区観光協会代表理事)、村瀬正尊氏(一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス理事、株式会社マチヅクリ・ラボラトリー代表取締役)、佐別当隆志氏(一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局長、株式会社ガイアックス ブランド推進室、株式会社mazel代表取締役)】
 日本では普及が遅れているシェアリングエコノミー(共有経済)。分科会の冒頭ではパネリストが実践しているシェアハウスでの生活を紹介した。これからの社会は住居に限らず、さまざまなモノやサービスがシェアされていくという。この動きを敏感に察知し行政の運営に取り入れているのが、渋谷区だ。同区では公民連携で区民参加型の施策を実施している。根底にあるのは「シェアリングエコノミーがダイバーシティ(多様性)を生み出し、それがイノベーションを生み出す」といった考え方だ。全国各地の公民連携の新たな事例も多数紹介された。

■Vision4:人生100年時代の新しい生業(なりわい) わたしたちの働き方・暮らし方の未来

【左から、清水謙氏(ヒトコトデザイン株式会社代表取締役、NPO法人ETIC.ローカルベンチャーラボコーディネーター、コワーキングスペースチガラボ代表)、岡野春樹(郡上カンパニー ディレクター)、曽我浩太郎氏(未来予報株式会社代表取締役 プロジェクトデザイナー、SXSW LLC, 公式コンサルタント)、小林味愛氏(株式会社陽と人<ひとびと>代表取締役社長)】
「企業勤めから起業する」という共通体験を持つ3人の登壇者が、プレゼン形式で「人生100年時代の新しい生業」のつくり方を紹介した。パネルトーク&質疑応答では、「人生100年時代のワークライフシフト」について若手社会人や大学生の幅広い年齢層からさまざまな意見が寄せられた。最後は「人生100年時代に向けて自分自身のことを考える」というディスカッションテーマのもと来場者同士の対話時間が盛り込まれ、会場がひとつのコミュニティとなった。

■Vision1:ソーシャルイノベーションと日本人 日本の智恵は江戸にあり

【左から、西田陽光氏(一般社団法人次世代社会研究機構代表理事、公益認定NPO法人MPJ<ミレニアムプロミスジャパン>理事)、浅野大介氏(経済産業省大臣官房政策審議室企画官)、小泉吉永氏(法政大学文学部講師、学術博士<金沢大学>、往来物倶楽部代表)、山﨑善弘氏(東京未来大学モチベーション行動科学部)】
 ソーシャルイノベーションを語るとき、不可欠となるのがそれを起こす「イノベーター」の存在だ。日本では画一的な戦後教育と中央集権の功罪か、イノベーターが生まれにくい環境となっている。そこで参考にしたいのが江戸時代だ。江戸時代の子どもたちは寺小屋でのマンツーマン教育で読み書きを覚え、大人と接することでその智恵や所作を学んだ。結果、各地方に人間力の高い名士と呼ばれる人々が現れることとなった。今こそ知ってほしい江戸の智恵を会場全体で共有した。

■Vision7:ソーシャルテックの台頭 テクノロジーを活用した持続的な課題解決の方法

【左から、Yoav Elgrichi(ヨアフ・エルグリッチ)氏(Impact Tech共同創業者)、Kineret Karin(キネレット・カリン)氏(Impact Tech共同創業者)、Daniel Saito(ダニエル・サイトウ)氏(Red Robot CEO)、C. Jeffery Char(ジェフリー・チャー)氏(株式会社j-seed venture 代表取締役兼CEO)、Tim Romero(ティム・ロメロ)氏(起業家)】
 エルグリッチ氏の社会課題に対するテクノロジー活用事例のプレゼンから分科会がスタートし、収益を生みながら社会課題解決を図るソーシャルテックの本懐が説明された。パネルディスカッションでは「日本におけるエコシステムの可能性」をテーマに、登壇者4人が「起業家たちに必要な熱意」「投資のあり方」などのキーワードを挙げながら意見を交わした。最後にエルグリッチ氏から日本の起業家にむけて「失敗を恐れてはいけない」とアドバイスが送られた。

■ONE-DAY-PARK

 あいにくの天気のため、地上広場で行われる予定だった「ONE-DAY-PARK」は、屋内開催へと変更(一部のみ地上広場で出展)。来場者は分科会の合間などに各ブースを訪れ、さまざまな出展物を体験したり、出展者の話に聞き入ったりしていた。

 分科会、ONE-DAY-PARKともに多くの来場者が訪れたフォーラム2日目——。フィナーレとなる明日19日のコンテンツにも、ぜひ注目を。