3日間に渡って開催された「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」。最終日となった11月19日も、分科会を始めシンポジウムや討論会など多くのコンテンツが催された。

■Issue4:「女性活躍」に隠れているもの 現代の女性は生きやすくなったのか

【左から、中村淳彦氏(ノンフィクションライター)、北条かや氏(著述家)、橘 ジュン氏(特定非営利活動法人BONDプロジェクト代表)、勝部元気氏(評論家、株式会社リプロエージェント代表取締役社長、パリテパートナーズ代表理事)】
 さまざまな分野で女性の活躍が目立つ一方、男女の格差を示すジェンダーギャップ指数で日本は114位。最近では若い女性の貧困が社会問題となっている。パネリストが口を揃えた「女性の生きづらさ」とは何か。若い女性はなぜ性風俗産業に走るのか、一部の男性はどうしてネット上で執拗に女性を攻撃するのか……。日本社会に蔓延する「認知の歪み」をいかに改善すべきか。2時間の討論は女性活躍の陰に潜む問題を浮き彫りにした。

■ソーシャルイノベーター プレゼンテーション

【左から、浅谷治希氏(LOUPE Inc. CEO, founder)、仁藤夢乃氏(一般社団法⼈Colabo 代表)、安部敏樹氏(一般社団法人リディラバ 代表理事)、小松洋介氏(特定非営利活動法人アスヘノキボウ 代表理事)、岡 勇樹氏(NPO法人Ubdobe代表理事、一般社団法人国際福祉機構代表理事、合同会社ONE ON ONE代表)、川口良氏(一般社団法人WorkAnywhere 代表理事、ストレイライト合同会社 代表社員)、横山太郎氏(Indicocrea<インディコクリエ>、横浜市立市民病院緩和ケア内科)】
 7人のソーシャルイノベーターが6分間で各人の事業計画を披露した。各ソーシャルイノベーターの解決したい社会課題は、教職員の多忙化(浅谷氏)/小児医療&療育(岡氏)/働き方改革&地域活性(川口氏)/青少年保護(仁藤氏)/社会保障費増大(横山氏)/社会システムのバージョンアップ(安部氏)/若者のキャリアアップ(小松氏)(※発表順)など、さまざまだ。コメンテーターは大室悦賀氏(京都産業大学経営学部 教授)と荻上健太郎氏(日本財団経営企画部長)。プレゼンやブース出展の審査、来場者投票の結果などを踏まえ、12月のアワード授賞式で最優秀賞と優秀賞が選ばれる。

■シンポジウム:日本の将来をつくる~子どもと教育が日本のイノベーションをおこす~

【左から、伊東敏恵氏(NHK甲府放送局 アナウンス副部長)、萱野稔人氏(哲学者、津田塾大学総合政策学部 学部長)、中室牧子氏(慶應義塾大学総合政策学部 准教授)、川上量生氏(カドカワ株式会社 代表取締役社長、学校法人角川ドワンゴ学園 理事)、鈴木 寛氏(文部科学大臣補佐官)、白田直也氏(認定NPO法人Teach For Japan 代表理事兼CEO)】
 イノベーションには人材育成が欠かせないが、子どもの教育はその要となるもの。まず「今の教育の現場」を見てみると、教師の疲弊と質の低下が目立つ。また、最近は子どもの7人に1人が貧困という問題が特に深刻化している。こうしたさまざまな課題を解決するには、教師の質の向上や評価システムの変換が不可欠だ。
 そこでキーワードとなるのが、海外では標準化されている「エビデンスベースト」の導入だ。教育界に蔓延する旧態然とした通説や理念ではなく、ビッグデータなどの科学的根拠に基づいた教育方法による改革こそが教育のイノベーションを生み出す。もちろん、そのためには子育て世代や教育関係者だけではなく、社会全体の支持や教育への参加が求められる。3時間に及ぶパネルディスカッションでは、こうした教育改革をテーマに各分野の第一人者による熱い意見が交わされた。

■子どもの未来を応援する首長連合公開討論「マルチセクターの協働で創る新しい子どもの貧困対策」

【左から、浅井雅司氏(子どもの未来を応援する首長連合事務局、佐賀県武雄市 副市長)、小宮山利恵子氏(リクルート次世代教育研究院 院長)、井村良英氏(認定NPO法人育て上げネット 若年支援事業部HR担当部長)、今井悠介氏(公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン 代表理事)、片岡靖氏(一般社団法人ICT CONECT 21 常任理事・事務局長)】

【岩本悠氏(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム 共同理事)】
 「子どもの未来を応援する首長連合」(子どもの貧困対策連合)主催のもと、「子どもの貧困解決」をテーマにパネルディスカッションやワークショップが行われた。前半のパネルディスカッションでは同連合と教育関係の実践者たちが子どもの貧困対策の背景にある課題を共有。地域の事例紹介では、日本財団による子どもの貧困対策プロジェクト「家でも学校でもない第三の居場所」について「5年間で100拠点整備をめざす予定」と発表された。すでに取り組みが進められている埼玉県戸田市、広島県尾道市の自治体担当者と運営事業者によるパネルディスカッションでは「マルチセクターが絶対に不可欠」と改めて強調された。
 後半からは昨年度ソーシャルイノベーター最優秀賞・岩本氏によるワークショップが開かれた。島根県海士町学校魅力化プロジェクト、愛知県名古屋市の不登校対策、大阪府八尾市の貧困対策等の事例紹介の後、会場の参加者は3〜4人で集まり「協働に向けて何が必要か?」をテーマにグループワークを実施。“マルチセクターでの対話”という貴重な経験に議論の熱も帯び、参加者にとって充実した議論となったようだ。

■クロージング

 フォーラムのラストを飾るクロージングでは、日本財団のTVCMソング『愛は勝つ』を歌っているシンガーソングライターの新山詩織さんがステージに登場。新山さんの力強い歌声に、会場からは盛大な拍手が贈られた。
 最後は、日本財団の荻上氏(下写真中央)による挨拶。「来年のフォーラムは渋谷で開催します」と日本財団と渋谷区との連携が発表され、「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」は無事閉幕した。