REPORT
レポート

テクノロジーが変えた僕たちの政治 テクノロジーは若者の政治参加をどうアップデートできる?

2019/12/1(日)10:00〜12:00

2020.01.10
メディアは事実と違う伝わり方や総論ばかり、見る側のリテラシーが問われている



<登壇者>
伊藤 和真さん(株式会社PoliPoli 代表取締役)
宇野 常寛さん(評論家、批評誌『PLANETS』編集長)
堀 潤さん(株式会社ノースプロダクション代表、NPO法人8bitNews 代表、株式会社GARDEN CEO)
たかまつ ななさん(株式会社笑下村塾 取締役、お笑いジャーナリスト、ピン芸人)
<日本財団ディレクター>
栗林 フランツ健


10代から60代以上まで幅広い世代が集まった本会場。他のセッションと比べ、10代が多いことからも若者の政治への関心が高いことがうかがえます。居酒屋で政治の話をするのは“ヤバイ奴”だと言われるくらい、世間では政治に対する躊躇いが多いという。果たしてテクノロジーで現状は変えられるのか?まずは各々の世間と政治への働きかけを伝えた。

伊藤さんは「テクノロジーで国家システムを再構築することを目指し、政治家と市民を繋げるサービス『PoliPoli』の開発・運用を行っているが、アプリのゲーム性を大事にしている」と言います。宇野さんは「『PLANETS』は、批判するだけでなく、俺たちならこうするという観点で尖ったメディアを目指しています。僕らが思っているより政治とつながる方法は多いはず」と提案。たかまつさんは「ジャーナリズムとは違う視点で気づかせたい。これから自分自身どうネットと政治を結びつけて若者の間にムーブメントを作るか模索している最中」と言い、堀さんは「市民とジャーナリストの協業の現場を作りたかったこれを8bitnewsで実現している。ガザ、シリア、平壌、福島、沖縄を取材した映画『私は分断されない』を製作した」と、それぞれの取り組みを紹介しました。

ネットと政治

最近の気になるニュースについてディレクターからの問いかけに対して、堀さんは自身の香港での取材経験から、実際は学生よりも警察の暴徒化の方が進んでいるのに、ニュースは歪んで伝わることを語る。「メディアには生きた素材がない。現場に行くべきはメディアなのに、コストや安全性の問題を訴え、実際には現場に行って取材していないのでは」と言う。また「『戦争を一番感じた時はいつですか?』という質問に、終戦後の昭和20年と答える人が多かったことから、実体験として身近に感じないと実感が湧かない」と指摘します。
続いてたかまつさんは、N国党が議席を獲得したことを挙げた。「学生が一番知っている政党であり、炎上商法が政治においても通用する社会になっている。問題を問題としてではなくネタとして扱われることから、政治のアイコン化が進んでいる」と投げかけます。
それに対して宇野さんは、テクノロジーの進化が必ずしも民主主義を発展させるのか疑問だと言い、「賢い人間ほど政治より経済で変えていこうとする傾向があり、テクノロジーのアップデートではなく民主主義のアップデートを行わないといけないのでは」と答えます。
伊藤さんは「N国党がバズった理由はエンタメ性の高さであって、次のイシュー性は無い。イシューベースで事実をわからせるプラットフォームをつくらなければいけないと思っている」と語りました。
そして「たかまつさんのように、メディアを見る側の意識が大事で、きちんと情報をキャッチアアップしないといけない。そのために見る側のリテラシーが問われている」とまとめられました。


日々の日常の生業の延長に政治がある、自分との対話が重要

後半はこれから先の30年、未来の話題が展開されました。
堀さんは「香港の雨傘運動に参加した13歳くらいの子どもが香港を牽引しています。日本の原発のネット運動が失敗したのはオピニオンを集めすぎて、こうあるべきというべき論に終始したから。政治に必要なファクトだけを見えるようにすることが重要」と、香港と日本を対比して語ります。
  伊藤さんは「選挙参加しないのは、成功体験がないからではないか。興味がある人は過去に政治家と話したことがとか、など小さくても成功体験がある」と言います。
たかまつさんは「何が何でも選挙に行って欲しいと思います。今の政治は逃げ切る政治で、自分がよければいいと思っているのでは。100年後を語ると政策もかわるのでは?」と投げかけます。
宇野さんは「選挙による意思決定では民主主義の操縦は変わらない。ファクトだけでもダメで、選挙以外のボトムアップが必要。選挙の外側に政治回廊をどう作るか、自分が社会に触れている実感がないのが問題」指摘し、堀さんも「自分の見たい未来を言えるか?自分との対話が重要だと思う」と続けます。
「政治を語るリスクをなくさないといけない」と言うたかまつさんに、「政治の何を語るかが重要」と堀さん。「べき論では若者は動かない。自分の仕事や生活に影響がある話であれば本気を出すのだから、そこに気づかなければならない」と伊藤さんは言います。

発信できる人は少なく、それぞれが散発的な発言をするにとどまっている現状から、それらに影響されることなく、自ら発信できる存在になることが大切だとまとめられました。