REPORT
レポート

日本食があぶない!? 2020のおもてなしが問う、明日の日本の食文化

12月1日(日)13:00〜15:00

2019.12.24
おいしく持続可能な日本の食文化の在り方とは

日本食があぶない!? 2020のおもてなしが問う、明日の日本の食文化
<登壇者>
加藤 佑さん(ハーチ株式会社 代表取締役、IDEAS FOR GOOD 編集長)
酒向 萌実さん(株式会社GoodMorning 代表取締役社長)
松山 喬洋さん(スフィード合同会社 CEO、一般社団法人サステイナブル・レストラン協会 事業開発責任者)
三日月 大造さん(滋賀県 知事)
<日本財団ディレクター>
田中 杏


日本の食を取り巻く環境が変化しています。エシカルって何?必要なの?という根本の問いに立ち返り、多様な答えを探ります。国でも企業でもない私たちが、まずは明日の「エシカル」の常識を覆しませんか?と本セッションは始まりました。

いち消費者の工夫が社会をちょっとずつ変えていける

酒向さんは、いち消費者としてエシカルについて「自分と周りの人が今後も健康に生きていくためには、これ以上環境を破壊してはいけない」と言い、フードロス問題については「例えば白菜を一玉買うと、一人では食べきれず捨てることになってしまう。かといって、小分けにされたものは過剰包装など、別の理由で環境破壊につながるのではないか……」と、問題意識を持つことでいろいろな課題を感じるようになったそう。 そして、GoodMorning の活動を例に挙げ、廃棄食材のパンで作られたライトを紹介するなど、「捨てるのではなく再利用してみようというアイデアも生まれています。そうした新しいアイデアを出し合い、工夫することで社会をちょっとずつ変えていける」と語りました。

エシカルという概念は優しさ

地元愛知県の田舎での原体験を元に「食と環境はともにあると改めて思いました。人は自然に依存している生き物」と始めた松山さん。地球規模の環境変化をどう考えて良いのかわからないという時に、エシカルという概念が大切になってくるのではないか、という投げかけをして、「エシカルという概念は優しさだと思う」と言います。
そして、「体にいいものを作ってくれる人がいて、それを自分が取り入れることで社会が変わっていくのでは」と提案。そのフェーズ1が「問題に気づき変わり始めている」、フェーズ2は「ソーシャルアクションを起こし周りを巻き込んでいく」、フェーズ3は「消費の流れが変わり社会が変わっていく」と流れを示し、「エシカルは繋がる優しさだと思っています」という印象的な言葉で締めくくりました。

SDGsの参加宣言をしている滋賀県の取り組み

滋賀県知事の三日月氏は「未来へのソリューションは、歴史の中にヒントやアイデアがあります。滋賀県ではパートナーシップ連帯の中で道筋を見つけていけたら」と語ります。
そして、「滋賀県が環境について真剣に取り組んでいるのは、50年前、琵琶湖で起きた赤潮の影響が大きいと思います。その時、住民が立ち上がり日本で初めていわゆる石鹸条例を作って成功した実績があります」と、地域に根ざした取り組みを紹介。そういう意識の高い県民の方々の存在は県の誇りと語り、オーガニックオンラインという新しい農業の仕組みづくりやフューチャーラボ活動、他県と共生する農林水産業など、多彩な取り組みについて情報提供がされました。

消費者と生産者の距離を近づけるのがポイント

2013年以降、ビーガン・フードロスという言葉が世界中で検索されるようになり、本当の意味での変化が始まっていると話し始めた加藤さん。「ビーガンは海外では日本よりだいぶ進んでいて、フードロスに関しても意識が高い。余っている食材を持っていくと調理してくれるレストランや、捨てるタイミングが分かるよう腐った牛乳の匂いを作るなど、おもしろい取り組みもされています」と、日本にはない事例を紹介。
大量消費の時代になり、生産者と消費者の距離が遠くなったことがフードロスと関わりが深いと言います。「賞味期限を短くしないと不安になってしまう。輸送の距離が遠くなると、安全性に配慮して保存料や添加物などを入れるようになる。さらには輸送の時にはCO2を排出する。これらの課題を解決するにはシンプルに消費者と生産者の距離を近づけるのも大事なポイントだと思う」と加藤さん。その心は、フードロスなどの社会課題の生みの親は、実はコミュニケーションの欠如にある、とのこと。ブロックチェーンなどの流通を使ったり、余っている食材と求めている人とをマッチングしたりするなど、可能性はまだたくさんあると示唆します。こうした成功事例の共通項は、加藤さん曰くはじめやすさ、おいしさ、そしてありがたさ。最後にビーガン料理のおいしさを知り、週一回だけ肉を食べない日を作るなど、無理のない範囲で楽しく気軽に実践できるアイデアが凝縮された締めくくりとなりました。世界規模の課題は意外にも、身近な人とのコミュニケーションが解決してくれるかもしれません。