REPORT
レポート

エビデンスが子どもを救う 公はいかにして子どもの諸課題に立ち向かうべきか

2019/11/30(土)10:00~11:00

2020.01.20
<登壇者>
高 亜希さん(一般社団法人Collective for Children 共同代表)
河内 崇典さん(一般社団法人Collective for Children 共同代表)
能島 裕介さん(NPO法人ブレーンヒューマニティー 顧問)
桝谷 礼路さん(一般社団法人Collective for Children 事務局長、相談支援専門員)
小林 庸平さん(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 主任研究員行動科学チームリーダー)

子どもたちの貧困など負の連鎖が広がる実情

エビデンスが子どもを救う


「今、日本では7人に一人の子たちが貧困によって苦しんでいる」。関西圏を中心に子ども・若者支援の活動をしている複数のNPO団体が連携し発足した一般社団法人Collective for Children(以下コレチル)共同代表の高さんが発したそんな衝撃の言葉から特別企画『エビデンスが子どもを救う』が始まりました。
離婚や怪我や不幸によって一人親家庭、または困窮した状況となり、いじめ、不登校、といったその他の要因が複雑に絡み合うと、子どもたちはもちろん、子育てをする保護者も苦しみます。やがてそれは仕事との両立の難しさから社会から孤立し、更なる苦しみへと繋がっていく。そういった負の連鎖が貧困を生み出していると高さんは話しました。
そんな状況を変える為、コレチルは行政そして日本財団と連携し尼崎市にて支援の必要な家庭向けに教育・各種サービスが利用できる「子ども・若者応援クーポン」を配布しました。
その結果、本年度は給付対象者の4倍にあたる1,177人の応募があり、クーポンの必要性を実感したと語りました。

相談支援とエビデンスの重要性

相談支援員を兼任している枡谷さんは「クーポンの試みからより具体的な相談支援に繋がっている」と話します。支援を必要としている家庭といってもその理由はさまざま。相談員が支援家庭との信頼関係を築くだけでも大変なことと指摘します。しかしこういったツールを活用することで支援家庭とより深い関わりが持てるようになったと話します。

次に尼崎市にて教育政策に携わっている能島さんが、子ども・若者応援クーポンにおけるエビデンス(根拠、証拠)の必要性を語りました。それは、クーポンを申請した世帯を当選グループと落選グループに分け、クーポン利用者や申請者から取ったアンケート結果と市が保有しているデータと組み合わせ、当選グループと落選グループがどのように変容するか、客観的に効果を測るランダム化比較試験という仕組みです。「このような官民が協力した長期的なアウトカムに基づくデータはとても珍しく貴重なもの。今後この取り組みを全国に展開していく際には絶対必要」と力説します。
それを受けて三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林さんは途上国の施策を例に上げ、エビデンス効果検証の重要性を補足。
しかしエビデンスはあくまでもベースでありサイエンスの部分なのだと言います。また小林さんはラグビー指導者のエディジョーンズの言葉を借りて、「重要なことはサイエンスだけではなくアートな部分。つまり、それは『その人の心の状況』であって、一人ひとりにとって何が必要か見極めること」と話すと、登壇者を含め会場から頷きの声があふれました。