REPORT
レポート

未来実装会議 行動で未来をつくる、全員参加型セッション

2019/11/30(土)11:15〜12:15

2020.01.16
<登壇者>
林 篤志さん(一般社団法人Next Commons Lab Co-Founder代表)
富川 岳さん(株式会社富川屋・to know代表)
明貫 紘子さん(映像ワークショップ 代表、愛知県立芸術大学 非常勤研究員)
鈴木 直之さん(ZENTECH代表)
三原 惇太郎さん(ハンター、猟師、ゲストハウス経営者)


フッシュボウルとグラフィックレコーディング

未来実装会議

Next Commons Labの林さんが企画した特別企画「未来実装会議」は、他のセッションとは異なるしつらえで行われました。ステージはなく、幾重もの円形に並べられたいすの中心に、5つのいすが置かれています。会場に入場してきた参加者は一様に驚きの表情を浮かべながら席に着きました。

中央の5つのいすには“テーマオーナー”となる4人が座ります。
その中心で行われる対話を周りの観客から眺めるこのセッションはフィッシュボウル(金魚鉢)と呼ばれており、最大の特徴は、参加者も「中心の空席」に座ることで対話に参加できるという点です。ルールは1つ。5つのいすが埋まると必ず誰かが立って空席を作らなければならないということだけです。
また、この企画ではもう1つの試みとして、会場のスクリーンを使用し、セッション中の議論を絵や図を用いてリアルタイムに可視化するグラフィックレコーディングという手法を用いて記録しました。こうして期待に包まれた会場から全員参加型セッション「未来実装会議」がスタートしました。

お金、アート、食べる、獣

テーマオーナーたちが用意した議題は4つ。「お金」、「アート」、「食べる」、そして「獣」です。
まずはお金をテーマに掲げた鈴木さんが「ポスト資本主義」と呼ばれる新世代のお金との向き合い方を切り出しました。お金が絶対的な権力を持つ時代は終わり、今ではお金の尺度が変化し民主化に進んでいると語ります。そして「未来はまた別の価値が生まれてくる」と私たちに問いかけました。それを受けた富川さんがお金に対する価値観は場所や環境で変化すると話すと、参加者の1人が中央の席に着き、自身の意見を語り出しました。
その後、いすに座った人が意見し、席を立つと、また新しい「誰かが」そこに座ります。まさにそれはフィッシュボウルが回り出した瞬間でした。

仕事と労働の違いの議論を経て、フリースクールに通う男の子が席に着くと教育のあり方にまでテーマが膨らみ、議論はアートに突入します。テーマオーナーの明貫さんがメディアアートを切り口にして、従来の教育メソッド「ステム」に芸術性(アート)を加えた「ステーム」という新しい教育メソッドを紹介。不確実で予測不能の現代においてアーティストの特性が世界に役立つ時代なのだと訴えました。

続いて、奈良県で猟師を生業とする三原さんの順番が回ってきました。テーマは食です。狩猟生活の中で、人は自然の一部であることを認識したという三原さん。「野生動物を食べることで人は自然と直結している事実を知る」と語ります。1人の若者がブラジルで経験したピラニア釣りから自然の恐怖を学んだエピソードを語り、聴衆も聞き入っていました。

最後のテーマは獣です。岩手県遠野市に移住した富川さんから、『遠野物語』を中心にカッパや妖怪など物質社会と真逆にある“超感覚”や獣の伝承について語られました。
その話を受けた参加者の1人が「獣や妖怪、自然からどんどん遠ざかることにより、人は死を遠ざけている」という独自の死生観を話します。

セッションの最後に参加者の女性が「情報過多の現代において、この空いた席が答えであり大切な物の一つだ。空(くう)、余白こそが新しい物を生み出す」とぽっかり空いた空席を見つめながらつぶやいた言葉で、この会は終了。
セッション中に記録されたグラフィックレコーディングも完成しました。

未来実装会議