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キーワードは「かかわりしろ」…犬山紙子と考える“これからの居場所の探し方”

「ホメラニアン ホッとフォーラム supported by 日本財団」シリーズ#3

2019.10.25

コラムニストの犬山紙子(月曜&火曜担当)と、アプリクリエイターの関口舞(水曜&木曜担当)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生放送番組「ホメラニアン」。10月21日(月)の「ホメラニアン ホッとフォーラム」のコーナーでは、社会や環境がよくなって、そしておもしろい」がテーマのソーシャル&エコ・マガジン「ソトコト」の編集長・指出一正さんをゲストにお迎えしました。

指出一正さんと犬山紙子

「ローカル」に注目

犬山

本日の議題は「これからの居場所の探し方」。私たちは今、仕事も住む場所も人間関係も“個人の好き”が尊重される自由な時代を生きていますが、自由だからこその不安を感じている人もいると思います。都会に住んでいると地域とのつながりも薄く“自分の居場所はここでいいのだろうか”と悩んでいる方も多いと思うのですが、そんななか、若者たちに注目され始めているのが“ローカル”だそうで。

指出

ローカル熱いですね。本当に熱くなりました。1つのキーワードは“かかわりしろ”という言葉です。

犬山

“かかわりしろ”……。“伸びしろ”みたいなこと?

指出

そうです。“伸びしろ”とか“のりしろ”みたいなものですね。東京や大きな街だと、どうしてもサービスを受ける側になってしまいがちですが、中山間地域をはじめとして、地方の町などは、人口が減っているなか“誰かが何かをやってくれるとうれしいな”っていう“かかわりしろ”が満点なんですね。例えば、古民家をリノベーションして使ってくれないかなとか、場所によっては“誰か神主になってくれないかな”とか。

犬山

神主!

指出

そうなんです。そういうファンタジーみたいな、地域と自分を結ぶ接点が多面多様にあることが、今のローカルの魅力なんですよね。その“かかわりしろ”を求めて、東京や大きな街の若い人が“この場所を見つけた”みたいな感じで、その場所の豊かさとか、カッコ良さを感じて、地域との接点を持っている感じはしますね。

犬山

なるほど。受け手ではなくて、何かを発信したり作ったりする文化や、ローカルの面白さを外にアピールしていく担い手になれる。

指出

形容詞みたいなのもので言うと“つるつる、ピカピカ”ではなく“ざらっと”した場所。“ここを使って何かやってみたいな”って思わせる、背中を押したりモチベーションになるようなことが“かかわりしろ”で“ざらっと”しているわけです。引っかかるっていうことですね。

東京・尾山台の「おやまちプロジェクト」

犬山

都会でも、このような新しいコミュニティっていうのは生まれたりするんですか?

指出

ありますね。僕が今注目しているのは、東京の尾山台っていう東急大井町線の駅。去年の秋から“おやまちプロジェクト”っていうプロジェクトが立ち上がったんですね。ハッピーロードっていう商店街の洋品店の店主と、小学校の校長先生をはじめとした子ども達。

犬山

子ども達!

指出

さらに、東京都市大があるので、大学の先生や、学生たちがまちづくりに関わっているんですね。面白いのは、例えば、歩行者天国の時間だけ、都市大の学生たちがイスを並べてゼミを始めるんです、授業を。

犬山

えっ、歩行者天国でゼミ。

指出

そうすると、後ろから覗き込むわけですよ。“一体、何をやっているんだろう”みたいな。これが接点です。居場所の始まりですよね。

犬山

そうか。閉じられた空間でゼミをやっていると覗けないものを、歩行者天国でやることによって、人々の可能性をちょっとずつ開けていく。

指出

そうです。さらに面白いことに、駅のすぐ近くのコインパーキングを借りて、キャンプ場にしたり。

犬山

コインパーキングをキャンプ場に!

指出

おやまちプロジェクトの皆さんが泊まっていると、終電で帰ってきた東京の中心で働いていた若い女性の方とかが、ぎょっとするわけですよ。

犬山

そりゃぎょっとしますね。

指出

“一体、何をやっているんですか”って声をかける。そうすると“いやぁ、実は僕たちは尾山台って街が大好きで、ただ尾山台を乗降の為だけの駅として見ている流れを、もっともっとみんなの接点や接触率を高めたいと思ってこういうプロジェクトをやっているんです”……っていう話をすると“いやぁ、実は住んでいるんですけど、友達がいなかったりするんです。だから仲間に入れてもらえたら”みたいな。そうやって一歩一歩コミュニティに新しい人が入って、その結果、尾山台では、子ども食堂のプロジェクトに、その女の子たちも入って始まったりするんですよね。

“街のこと”を“自分ごと”に

犬山

素晴らしいですね。本当に色んなさまざまな問題、孤立を防ぐって一番の課題じゃないですか。素晴らしい取り組みですね。

指出

一番大事なのは、自分たちの街が面白くなっていけばいいなっていう、真ん中の考え方ですよね。“社会の課題を解決する”とかじゃなくて。せっかく自分の街が大好きなんだから“もっと面白くなったら”っていうのが、おやまちプロジェクトの原点なので、そこに学生が入ってきたり、小学生が入ってきたり、地元のお父さんやお母さんも入ってきたりして、あらゆる世代が交じり合うような形が生まれたのが、東京の本当に真ん中というか。

犬山

すごいですね。

指出

僕は中山間地域や地方都市のプロジェクトをずっと拝見していますけど、東京もいよいよ自分の街のことを“自分ごと”にしているんだな、というのは感じました。

犬山

東京もざらついていますね。

指出

ざらっとした場所、増えていますよ。

1つの場所にいながら複数の社会に存在

犬山

本日の議題は「これからの居場所の探し方」。リアルな居場所に加えて、バーチャルやインターネット上のコミュニティの役割っていうのは?

指出

僕もとても重要視していて。今、僕達はリアルな場所以外に社会を2つも3つも持っている時代だと思うんですね。例えばLINEのグループ、フェイスブックのページ。自分が1つの場所に生きていながら複数の社会に存在しているっていうのは、圧倒的な安心感に繋がると思っています。だから追い込まれないって言うか。自分は何様にもなれるし、社会も1個じゃないんだよっていうことを、SNSの世界はちゃんと優しく伝えてくれているなという気はします。

犬山

これは本当に実感しております。私もこの居場所がちょっとしんどいなってときに、逃げ場が他にあったりして。これがなかったら、例えばいじめだったりとかで悩んでいるとき、他に居場所があれば逃げられるけど、なかったらそこで世界が完結しているような気持ちになってしまいますよね。そこを助けてくれる場所になっているな、なんて感じているのですが。

この「ホメラニアン」も“頑張っている人も、頑張れなかった人も褒めたたえよう”という番組なんですね。“会社や家庭などで言えないことも吐き出せる、優しい居場所になったらいいな”と思っているのですが。この“居場所がない”と思う方は、何から始めて行けばいいですか?

指出

東京には、人が集まっている場所がたくさん生まれています。だから“人が集まっている場所に顔を出す”ということから始めるといいと思います。

犬山

顔を出す。

指出

カチコチに固まったコミュニティじゃなく、誰でもウェルカムな場所は増えているんですね。例えば清澄白河にあるリトルトウキョーであったり、森下にある喫茶ランドリー(いずれも東京)であったり。多様な人たちが集まることで何か新しいことを考えようっていう、そういう場所がありますから。“1人だと寂しいな”とか“1人で行っても大丈夫かな”とか心配無用なので“ちょっと顔を出してみる”とかから始めると、気の合う仲間が生まれたり、走っているプロジェクトに参加したり、居場所が必ずできます。

検索して“居場所を”探してみる

犬山

その“顔を出したい”って思うプロジェクトだったり居場所は、どうやって検索したら見つかったりしますか。

指出

“人が集まっている場所”でも、最近は(検索して)出てきますね。人と人との関係を案内する場所が生まれています。これは観光を案内する場所じゃなくて“関係案内所”と呼んでいるのですが。

犬山

関係案内所。

指出

例えば、コミュニティスペースもそうかもしれないし、地元にあるおしゃれなカフェがそういう場所かもしれない。単にその業態、一業種に絞られないで、いろんな人が集まっている場所、目的が広がった形のものが生まれ始めているので、自分の家の近くで“なんか喫茶店っぽいけど喫茶店じゃないな”みたいな所があったら、行ってみるといいと思いますね。

犬山

なるほどー! すごいわかりやすい。

指出

自分から主体的に行かなくてもいいんです。そういう場所を知っている人に“あそこお勧めだから行こうよ”って誘われたら、物は試しに、騙されたと思って行ってみてください。

犬山

いや、それなんですよ。自分で探して行くのってちょっとハードル高いなって感じる方もいると思うんですけど、誘われて行ってみる分には。

指出

大体その場所のことを大好きになる皆さんは、自分からではなくて、友達とか、ひょんなことから行って、その場所を自分で発見する形になるんですよね。“自分で見つけたかけがえのない居場所がここにあった”みたいになることが大事なので。最初から狙って“ここが居場所に違いない”なんて言うと、それはちょっと熱すぎるので(笑)。“なんとなく時間あるから行ってみたら、思いのほか居心地良かったな”って所のほうが、実は平熱でぴったり合うかもしれないですよね。

犬山

なるほど。この“ひょん”っていうのが大事ですね。

SIFと東京FM「ホメラニアン」はコラボレーションコンテンツ「ホメラニアン ホッとフォーラム」を10月7日~11月25日まで計8回放送します。番組の概要は、下記をご覧ください。

<番組概要>
番組名:ホメラニアン
放送日時:毎週月~木曜 20:00~21:30
パーソナリティ:犬山紙子(月、火曜)、関口舞(水、木曜)
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/homeranian