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つくりたい未来を描くことから、行動が始まる!
未来に変化を起こすフューチャーセッション

2019.11.05

今回の日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム(SIF)は、社会起業家の実践を聞くだけでなく、参加者同士が「フューチャーセッション」というワークショップで対話を行い、未来へ向けた一歩を考え、行動するために行います。
そこで、この方法論を提供している「フューチャーセッションズ」の最上元樹氏に、フューチャーセッションとはどんなワークショップなのか。また、ファシリテーションをする際に最も重要という「問いの立て方」について教えていただきました。ファシリテーションの力は、イベントのワークショップのときだけではなく、事業設計・運営にも活用できるスキルなので、ぜひご一読ください。


教えてくれるのは・・・

最上 元樹(もがみ・げんき)氏

株式会社フューチャーセッションズ イノベーション・プロデューサー
 

――

まず、御社「フューチャーセッションズ」について教えてください。

最上

今、まちづくり、エネルギー問題、少子高齢化など、それぞれのセクターだけでは解けない、複雑な問題が増えています。相互に関連した複雑な問題を解決するためには組織やセクターを越えた取り組みが必要であるにもかかわらず、セクター間の壁に阻まれ、「バラバラな問い」で個々に動く活動があふれていますよね。
フューチャーセッションズは、複数のセクターが集い、対話をしていくことで、人間にとって、また社会にとって何が重要かを考える対話と共創の場「フューチャーセッション」を広げていくために立ち上がりました。
例えば、介護問題を話し合うセッションがあるとします。当事者で解決できることも多いですが、「徘徊問題」のように当事者だけでは解決が難しい問題もあります。このような問題の場合、『いつもの問い』を、『いつもの人たち』と、『いつもと同じようなフレームワーク』で考えていても(下図の左)、何も変わりません。当時者に加えて介護未経験者や家族、地域の人、自治体、医療機関、企業、あるいはAIのエンジニア・・・と、いろんな視点が入って、『いつもと視点を変えた問い』を、『いつもと違う人たち』と一緒に、『いつもと違うフレームワーク』で語らって、初めて新しい視点で物事を捉えられるのです(下図の右)。
複数のセクターの人を招き入れるにあたって大事になるのが、今日のインタビューのテーマでもある「問い」です。「介護環境をどうするか」ではなく、「介護になっても暮らしやすい町にするには」という問いに変えて自分ごとにしてもらわないと、当事者でない人を招き入れることは難しいです。
 

――

まさに日本財団が「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム」で目指していることと同じです。御社が提供する「フューチャーセッション」は、普通のワークショップとどう違うのですか?

最上

一般的にワークショップというと、アイデアを生み出すための場と思われるのではないでしょうか。フューチャーセッションは、新しい仲間を招き入れ、創造的な対話を通して、未来に向けての「新たな関係性」と「新たなアイデア」を生み出し、新しく集った仲間同士が「協力して行動できる」状況を生み出すための場です。アイデアが生まれても、それを行動に移さなければ意味がありませんから。新しいアイデアを実装しようとすると、従来の既得権益者、もしくはそれに対する反論者とで、必ず論争が起きます。その論争を超えるために必要なのが、強い集団です。プレイヤーたちが本当にそれを解決したいと思って協調することなんですよね。フューチャーセッションでは「関係性」を生み出すことのほうを、より重視しています。
 

――

それがフューチャーセッションのファシリテーションが「共創型」といわれる所以ですね。共創ファシリテーションについて、詳しく教えてください。

最上

まず重要なのが「問題解決」と「課題達成」の違いを理解することです。「共創ファシリテーション」は、後者の「課題達成」型に使うことが多いです。
問題とは、広義に「現状とありたい姿のギャップ」を示します。下図左の「問題解決型」はファクト(事実)があり、現在発生している、あるいは過去に発生した問題を取り上げ、その真因を探って、解決しようというものです。システム思考のように問題をループ図で可視化したり、「なぜなぜ分析」のように問題を掘り下げる思考も同じです。生産性や効率を高めるのに適した手法で、多くの人が得意とする考え方だと思います。
一方、下図右の「課題達成型」は“ありたい姿”を追求します。例えば「5年後、10年後の日本財団どうありたい?」と考えたときに、その姿へ近づくために複数の問題がありますが、現状の私たちにとって最も重要な問題は何か、について自ら問題を課す(=課題)ことを行い、その上でその課題をどのように達成するか、と考えていくものです。
ちなみに余談ですが、左は「なぜ?」、右は「何のため?」と問いかけることがコツです。「“なぜ”こう思ったの?」と聞くと、人は背景(過去)を話すものです。一方、「何のために?」、と聞くと、「こうしたいから」と未来志向の答え方になります。「なぜ」と「何のために」を使い分けるだけで過去と未来、振りたい方向に人の思考を導くことができますね。
 

――

それでは、具体的にフューチャーセッションのやり方を教えてください。

最上

フューチャーセッションは以下の「5つのプロセス」があります。
 

最上

通常のワークショップを作る人がやるのが、3の「対話の設計(どんな話をするのか?)」ですね。フィッシュボウルとかワールドカフェなどのワークショップの手法を組み合わせながら設計するものです。
フューチャーセッションでは、3の前に、2の「多様な参加者(どんな人たちが話をするのか?)」をダイジにしており、更にその前に1の「問いの設定(何のために話をするのか?)」を重視しています。
2の「多様な参加者」とは、冒頭でもお話ししたように、当事者だけでは解決できない問題について、いろんな視点を入れて話をするということ。その多様な参加者を迎え入れるために必要になるのが1の「問いの設定」です。
 

――

問いは、どのように立てていくと良いでしょうか?

最上

まずは、「問題を認知する」ことが重要です。そして、論点の軸を決める。例えば自動車の未来を扱うセッションの場合に、車という機械なのか、二酸化炭素なのか。次に、テーマの過去・現状・潮流の3つを調査します。一番大事なのは潮流ですね。調査する際の目の付け所などセンスも問われる部分です。次に、「ありたい姿」を認知する段階では、複数人の意見を取り入れることが必要です。1人でありたい姿を描くと的外れになることもあるので。ここまで来て初めて、問題の認知ができます。そして、様々な問題を認知した上で、課題達成を導く問いを立てると良いですね。

――

ちなみに、「良い問い」とは、どんなものでしょうか?

最上

問われた人の知識や思考、価値観を揺さぶって、「考えたくなる」ものですね。「鉄板ネタ」のように、誰にでも通用するものではなく、その場の聞き手に合わせることが重要です。良い問いには、以下のような特徴があります。

▪ 問題の当事者(テーマオーナー)の本質的な想いを捉えている
▪ 問題の当事者ではない人を招き入れることができる
▪ 今までに考えたことが無いフレッシュさを持っている
▪ 考えることが楽しくなるポジティブさを持っている
▪ 幅広い知識や考えを生みやすいオープンさを持っている
▪ 考える論点の範囲が明確になっている

イベントのワークショップだけでなく、事業設計の際にも上記のような問いの立て方を意識することをおすすめします。多様なプレイヤーの参加を促し、商品やサービスの発想の幅も広がるはずです。

参考:
■フューチャーセッションズ概要(https://www.futuresessions.com/
■最上さんオススメ関連書籍
『イノベーション・ファシリテーター ~3カ月で社会を変えるための思想と実践』
『裏方ほどおいしい仕事はない!』
『発想を事業化するイノベーション・ツールキット ~機会の特定から実現性の証明まで』
『フューチャーセンターをつくろう ~対話をイノベーションにつなげる仕組み』
『サラサラの組織~あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知』
『ゲームストーミング~会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム』
『シナリオ・プランニング~未来を描き、創造する』
『コミュニティ・オブ・プラクティス~ナレッジ社会の新たな知識形態の実践』