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変わりゆく結婚観と変わらない老後不安…犬山紙子×古市憲寿“おひとり様の未来“を考える

「ホメラニアン ホッとフォーラム supported by 日本財団」シリーズ#5

2019.11.11

コラムニストの犬山紙子(月曜&火曜担当)と、アプリクリエイターの関口舞(水曜&木曜担当)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの生放送番組「ホメラニアン」。11月5日(水)の「ホメラニアン ホッとフォーラム」のコーナーでは、慶應義塾大学SFC研究所上席所員でコメンテーターなど幅広く活躍している古市憲寿さんをゲストにお迎えしました。

古市憲寿さんと犬山紙子

「老後は結局1人に」

犬山

本日の議題は「私たちのおひとりさま計画」。総務省の白書には、2040年に単独世帯の割合が約40%に達するという予測が掲載されています。シングルという選択をする人の増加、離婚率の上昇や平均寿命の延びなど、さまざまな理由が考えられますが、そんな未来に向けて、1人の日々を楽しくするためにできることは何なのか、古市さんと考えていきたいと思います。今、結婚をしないという選択をする方も増えていますね。

古市

そうですね。僕もしていないですし、周りもしていない人が多いですね。

犬山

(結婚)しなきゃいけないっていう“圧”が、だいぶ取れてきた感じ。

古市

そうですよね。昔はやっぱり結婚するのが当たり前で“二十何歳までに結婚”っていうのが常識みたいだったけど。今は別に(結婚)しなくても、あんまり言われないし。選択は自由になってきましたよね。

犬山

良きことだと私は思います。ただ老後を考えると“じゃあ、どうしよう”って。1人で暮らしていても、結婚していても、老後は結局1人になって。

古市

確かに女性のほうが平均寿命が長いですからね。そして結婚をしたからって老後が安心かというと、逆にいろんな問題があったりとかね。夫婦間の仲がいつまでもいいとも限らないし、家族だから安心っていうわけでもないですよね。

「1人に依存するってすごい怖い」

犬山

そうですよね。だから結婚しようが、していまいが、老後というか、1人で生きて行くことに対しての不安というのは等しくあるのかなっていう。

古市

上野千鶴子さんの「おひとりさまの老後」もそうですね。上野さんの世代って結婚している人が多いんだけど、でも結局は1人になっていく人も多い。僕も上野さんと意見が合ったのは“仲間とか友達がすごい大事だよね”っていう点です。

犬山

私も全く同じことを思っています。

古市

ね。やっぱり結婚しても、それってたった1人の相手ができるだけじゃないですか。夫とか妻とかパートナーとか。でも、その1人に依存するってすごい怖いなと思っていて。逆に依存先をたくさん増やしたほうが、本当はもっと安定するんじゃないかなって思うんですよね。

犬山

私も全く同じように思っていて。結婚しようが、していまいが、SOSを出し合える関係をたくさん築いておくと、老後の不安、老後というか、1人である、孤立する、孤独であることの不安が減っていくのかなって。

関係づくりは自分から積極的に

古市

そうですよね。ただ、それが苦手な人も多分多いじゃないですか。“人を誘うのが苦手”とか“誰かと一緒にいることが苦手”とか“友達が作りにくい”とか。“そういう人には、どうしたらいいんだろう”ってことも考えるんですけど。

でも、それってすごい簡単かなと思っていて。友達がいないとか、誰からも誘われないとか言っている人って、単純に自分から誘っていないんですよね。だから、ちょっと勇気を出して誰か誘えばいいと思っていて。僕の個人の感覚ですけど、誘われるよりも誘うほうが楽だなと思っていて。例えば、誘われて友達10人とかの会に行っても、全員と気が合わないとかってあり得るじゃないですか。

でも自分で人を呼んだら、気の合う人ばっかりを呼べるから、自分で呼んだほうが楽なんですよ。だから僕は自分で人を呼ぶことが多くて。逆に、呼ばれてもあんまり行かないことも多いですけど。だから“友達作るって、そんな難しくないよ”っていう。

友達付き合いとか、もしかしたら恋愛もそうかもしれないですけど、誠意とか真心とかを持ちすぎると、良くないのかなと思っていて。真面目な人ほど、誰かを誘うときにも緊張しちゃうし、もしくは誘いを断るときにも緊張しちゃう。もっと楽でいいのにな、と思って。それぐらいのほうが、逆に関係って続けやすいんじゃないかなと思うんですよね。

犬山

適当な温度感というのが友達のなかにあると、その先に絆みたいなものがでてくるのかなぁ。

古市

そう。結婚みたいな形で相手が見つかった人はいいけれども、見つからなかった人は、別にゆるくつながる関係がたくさんあれば、同じように心の面ではすごく安心できるんじゃないかなと思うんですよね。

犬山

そうですね。おひとり様は、全く問題はないけれども、孤独、孤立というのは、寿命を全うするなかでも大変なことだったりするので。みんなそれぞれ考えていけたらいいな、なんて思いました。

「日本の定年は早すぎる」

犬山

本日の議題は「私たちのおひとりさま計画」。行政や企業は、どのように変わっていくべきだと思いますか?

古市

日本って定年が60(歳)とか65とか、寿命の割には早すぎるなと思うんですよね。

下手したら100歳とか、110歳とかまで生きる人も、これからどんどん増えていくなかで、65歳とかで定年だったら、もう50年間とかあるわけじゃないですか。それどうするのっていう。

だから“定年は全員65だよ”って区切るんじゃなくて、いつまでも働きたい人は働けるような仕組みを作ったりとか、もっと柔軟に老後を始めるような仕組みを作ったらいいと思うんですよ。今は、ある日急に老後が始まるっていうか。“65歳ですよ”“老後ですよ”っていう、それはちょっと唐突じゃないかなって思うことはありますね。

犬山

(自身は)仕事の量を自分の感覚で調節できる。会社員の方なども選べるようになったらいいですね。

古市

そうですよね。65歳で会社でバリバリ働いていた人が、急に仕事辞めます、地域にもつながりありません、家庭仲も悪いです、とかって、すごい悲惨じゃないですか。

犬山

でもその話、めちゃくちゃ聞きます。

「仕事」が生きる支えに

古市

聞きますよね。全国で団塊の世代が仕事を辞めていて。そうならないように、仕事をしているときも、ある程度家族とか地域とかと繋がりを持ったりとか、もしくは仕事をパッと辞めるんじゃなくて、もっと柔軟に、歳をとってからもできる仕事が増えたらいいですよね。

やっぱり仕事って、最大の社会との接点じゃないですか。だから、例えば老後を1人で過ごすとしても、絶対に仕事って大事だなと思っていて。仕事がないと、人って不安だと思うんですよ。ずっと専業主婦だった人が、夫が死んで1人ってすごい不安だと思うんですけど。

でも“私にはこれが出来る”“この仕事が出来る”と思っていたら、身近な人がいなくなったとしても、ある程度それが自信になるっていうか。仕事を持つことって、すごい大事ですよね。

犬山

なるほど。じゃあ企業側が“ゆるい定年”みたいな形式を取ったりとか。

一人っ子で未婚、高齢になり無職に…

古市

これからどんどん増えていけばいいなと思いますけど。あとは行政も、ですよね。今でもおひとり様ってたくさんいますけど、多分、数十年後のおひとり様ってちょっと変わっていくと思うのは、一人っ子が増えるじゃないですか。一人っ子で、しかも結婚していない人が増える。“本当のおひとり様”。

血縁関係者も誰もいません、みたいな高齢者がたくさん生まれてくるわけで。行政がサポートする必要が、もっともっと増えていくと思っていて。元気な人はいいんですよ。でもそうじゃなくて、元気じゃなかったりとか、病気になったりとか、それで結婚もしていなくて、一人っ子の仕事もしていない高齢者っていうのが、多分たくさん出てきて。

でも僕らって、そういう高齢者になる可能性が誰でもあるじゃないですか。だから、そうなっても安心できますよってことを、ちゃんと行政とか国、地方自治体とかが準備をしておく必要があると思うんですよね。

犬山

おっしゃる通りですね。そこは福祉なのか、その自治体のなかの取り組みなのか。

“長寿の夢”かなったのに……

古市

長寿って人類の夢だったじゃないですか。“100歳まで生きたい”とか。それが叶ったのに、みんなあんまり嬉しそうじゃないっていうか。

犬山

年金の話でも、不安になっている方って多いと思うんですよ、すごく。“こんなにお金、持っておけないよ”って。

古市

高齢社会って、もっと幸せであってもいいはずですよね。

犬山

長寿の社会にウキウキ感がないっていうのは確かに。

古市

本当はもっと喜んだほうが(いいですよね)。だから、喜べる環境をもっと作っていったほうがいいですよね。

犬山

そのためには、やっぱり行政や企業、そして私達が、友人たちとのつながりっていうのを作っていく、孤立しないようにする、というところなんですかね。

SIFと東京FM「ホメラニアン」はコラボレーションコンテンツ「ホメラニアン ホッとフォーラム」を10月7日~11月25日まで計8回放送します。番組の概要は、下記をご覧ください。

<番組概要>
番組名:ホメラニアン
放送日時:毎週月~木曜 20:00~21:30
パーソナリティ:犬山紙子(月、火曜)、関口舞(水、木曜)
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/homeranian